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白い部屋


59 :本当にあった怖い名無し:2010/06/06(日) 07:38:07 ID:x7JUOY1Q0
規則正しい音が響く。
無機質な機械が並ぶ白い部屋で、私と妻は顔を合わせる。
乱れることなく響き続けるこの機械音が、心臓が鼓動する事を示す音だけが、妻の最後の望みの糸だ。

『脳死』
それが、医者によって下された診断。
こうやって顔を合わせても、私も妻も黙ったまま。
かつての幸せな笑顔も歓談する声も、とうの昔に失われてしまった。
私の声は妻には届かない。
妻の思いを知るすべは、私にはもう無い。

そんなふうにぼんやり考えていると、別の人物、担当医が入ってきた。
「先日のお話ですが」
事務的に切り出す医者。
「こちらの準備は全て整いました。後は、ご家族の同意だけです」
「ええ、お話を聞いて、よく、考えました」
医者に返答する声は、震えている。
「子供はまだ若い。そして現状維持の費用は高くて、とてもじゃないけど払い続けられません。
 既に借金も重ねています。これ以上はもう、どうやっても…
 お話いただいた件、確かなんですよね?」
「お任せください」
足元を見られている、そんな感覚はある。老獪な医者は、多分腹の中で笑っているはずだ。
だが、背に腹は変えられないのも現実だ。
「確かにこの国では未熟な技術だが、成功すれば現在よりももっといい状態で生き続けられる。
 勿論あなた方の生活も」
「…宜しく…お願いします」

堪えきれない嗚咽が漏れる。
だが、これで、生き続けることを望む者が、皆救われるのもまた事実。







95 :本当にあった怖い名無し:2010/06/12(土) 20:16:27 ID:p9AYcBDT0
>>59は妻が脳死状態で、臓器提供待ちの子供に臓器提供するってことでいいのかな?
それとも、実は脳死状態なのは作中の『私』で、医者と話してるのは妻?
もしくは、二人とも脳死状態で、医者と話してるのは『私』と妻の親族?
って考えすぎ?
脳死状態ってことをリアルに考えるなら、2つ目3つ目の考え方はあり得ないか。


97 :本当にあった怖い名無し:2010/06/13(日) 00:02:19 ID:sw66MD06O
>>59は2番目で考えてた。
実は脳死状態だったのは夫で、医者と話しているのは妻。
臓器移植の相手は子供じゃなく、全然関係のない、複数の人かもしれない。
謝礼が出るんだろうな。それだと最後の文が納得いく気が

脳死の際に本人が思考できるかどうかは、考えなくて良い気がする。
ってなんかおかしな文だなw


844 :本当にあった怖い名無し:2010/09/12(日) 23:15:31 ID:AKx8bFxl0
亀だが、>>59は脳死判定の怖さをいっているんじゃないかな。
脳死判定されたのは『私』だと思う。
そして妻が臓器提供の話を飲む。
私は意識はあるけど、話すことも何もできず、実は生きているということをアピールできない。
私は生きているのに臓器を提供する側になる、ってことかな。
しかも、医者が作り出した脳死とかだったら嫌だね。(薬とか)

脳死ってさ、ホントに意識とかないのかな。
多分臓器取り出すときも麻酔しないよね。
心の中で『嫌だよ、死にたくないよ!』って叫んでるかもしれないし、激痛を感じているのかもしれない…
こわい。

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2018-11-11 21:47 : 怖い話 : コメント : 0 :
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