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恐怖郵便


440 :369:2005/10/20(木) 14:04:18 ID:tKVQKarJ0 
これは僕が高校の頃の話です。 

『かんひも』に関わって以来、微妙な霊感に目覚めてしまったわけですが、
友人たちから、その系統の相談を受けるようになっていました。 
まあ、霊感といっても、僕の場合ただ見えるだけなので、本当に話を聞くだけ・・・なんですが。 
それでも、中には気のせいだったり、話を聞いてあげるだけで解決したりする場合も多く、
意外と役に立っていました。 

10月25日
その日の夕方、僕は友人のJに、近所の喫茶店に呼び出されました。 
Jはサッカー部に所属しており、そのマネージャーのYさんが、奇妙なことで苦しんでいるとのことでした。 

喫茶店に着くと、すでにJとYさんは来ていました。 
恥ずかしながら帰宅部で自由を謳歌していた僕は、
Jの試合の応援などで、何度かYさんとは顔をあわせたことがありました。 
Yさんは大きな目をした、表情豊かな可愛らしい子で、サッカー部のマスコット的な存在でした。 
しかし、久しぶりに会うYさんは、いつもの明るさは影を潜め、やつれ果てていました。 


441 :369:2005/10/20(木) 14:06:11 ID:tKVQKarJ0 
「すまん、A」 
僕の顔を見ると、Jが心底困り果てた様子で話しかけてきました。 
「どうも、本気でやばいらしいんだ・・・」 
「どうしたの?」 
僕はJに頷くと、Yさんに話しかけました。 
Yさんは泣きそうな顔で、ゆっくりと話し始めました。 

ここからは分かりやすいように、Yさんから聞いた話を、Yさん視点でお話しします。

---------------
今から1ヶ月ほど前。

9月23日 
Yさんは、自分のアパートの部屋で夜中に目を覚ましました。 
Yさんは高校に通うのに、親元から離れて、学校の近くのアパートに一人暮らしをしています。 
アパートといっても、そこは女性の一人暮らし。 
1階には大家さんたちが住み込み、玄関はオートロックという、なかなかのアパートです。 
もともとは古いアパートなのですが、後からセキュリティ関係を強化してあるようでした。 

Yさんがふと時計を見ると、夜の2時45分・・・。 
妙な時間に起きてしまったものだと、トイレに行こうとベッドを出ました。 
すると、玄関の向こうの廊下で何か音がします。 
「カッ、コッ、カッ、コッ・・・」 
良く聞くと、それは足音のようでした。 
革靴やハイヒールのような、かかとの硬い靴の音です。 


442 :369:2005/10/20(木) 14:07:37 ID:tKVQKarJ0 
「こんな夜更けに・・・誰か帰ってきたのかしら・・・」 
Yさんは、同じ階の誰かが帰ってきたのだと思いました。 
眠い目をこすりながら、気を取り直してトイレに行こうとすると、 
「カッ、コッ、カッ」
足音が、ちょうどYさんの玄関の前あたりで止まりました。 
「・・・?」
Yさんは不審に思いながら、息を潜めていました。 
すると、
「カコンッ」 
ポストから何かが投函されました。 

このアパートはもともとは古いため、玄関のドアは下部に穴が開いており、
そこに郵便が投函される、昔ながらのポストでした。 
ポストに投函された『何か』は、そのまま玄関の靴の上に落ちていました。 
「郵便・・・です」 
ドアの向こうから、かぼそい男性の声が聞こえました。 
そして、また足音をさせて去っていきました。 
「なんだ・・・郵便屋さんか・・・」 
Yさんは一瞬安心しかけたものの、そんなわけがありません。 
もう一度時計を確認しました。 
2時49分。 
間違っても、こんな時間に配達をする郵便局員がいるわけがありません。 
Yさんは恐ろしくなり、ベッドに潜り込むと、震えながら朝になるのを待ちました。 


443 :369:2005/10/20(木) 14:08:30 ID:tKVQKarJ0 
朝、ようやく辺りが明るくなってくると、Yさんはベッドから出て、郵便を確認しに行きました。 
見ると、普通の官製はがきです。
恐る恐る拾い上げて、あて先を確認してみました。 
『○山 ×夫 様』
Yさんはほっとしました。 
あて先が自分宛でないことに、まずは安心したのです。 
そして、手紙をひっくり返して文面の方を確認しました。 
「・・・!」 
Yさんは、心臓がすくみ上がるのを感じました。 
はがきの縁が、1センチくらいの幅で黒く縁取られていました。 
そして、空白が大部分を占める中、真中に無機質なパソコンの字で1行、 
『9月27日 19時31分 死亡』 
とだけ記されていました。 
Yさんは、誰かのたちの悪いいたずらだと思い、そのはがきを捨ててしまいました。 

そして、Yさんはそのままはがきのことなど忘れて、普通に生活を送っていました。 
9月の27日も、別段なにごともなく過ぎていきました。 


444 :369:2005/10/20(木) 14:09:39 ID:tKVQKarJ0 
9月28日 
その日は休日で、Yさんは友達とファミレスで昼食を取っていました。 
今度の休みの計画や好きな歌手のライブの話しなど、いつものように話しは弾んで、楽しいランチのひと時でした。
「・・・!」 
Yさんは友達と話しながら、見るとはなしに見ていたテレビの画面に、信じられないものを見つけました。 
『・・・昨晩午後7時30分ごろ、××市に住む・・・・○山×夫さん、3○才が、
 自宅で死んでいるのが発見されました・・・死因は・・・警察では事件と事故の・・・』 
それはまさしく、あのはがきに記入された名前でした。 
Yさんは恐ろしくなり、慌てて家に帰りました。
はがきの名前を確認するためです。 

家に着くなりYさんは、玄関の隅に置いておいたごみ袋の中を探してみました。 
あのはがきが来てから、まだごみは出していないので、この袋の中にあるはずなのに、 
全く見当たりませんでした。
でも、あれは間違いなく、あのはがきに書いてあった名前だったのです。 
---------------


445 :369:2005/10/20(木) 14:10:54 ID:tKVQKarJ0 
「う~ん・・・」 
話しを聞き終わって、僕は思わずうなってしまいました。 
「まあ、でも、その後はなんともないんでしょ?」 
僕が口を開くと、Jが首を振りました。 
J「それだけじゃないんだって。 
 それから、もう4回・・・同じことがあったって・・・もう、5人死んでるって・・・」 
僕「でも、それだったら、変質者か悪質ないたずらじゃないの?警察に行った方がいいんじゃない? 
  へたしたら、殺人犯からとかってことも・・・」

僕とJが話すのを黙って聞いていたYさんが、 
Y「違うの。 
 だって、みんな、死に方が違うの。 
 調べてみたけど、心臓麻痺の人や、交通事故の人、病気の人。 
 殺されたとかじゃないし、みんな住んでるところがバラバラなの」 
僕は途方に暮れてしまいました。 
今まで、そんな例は見たことも聞いたこともありません。 

J「それに、ゆっくりもしてられないんだ・・・」 
Jはそういうと、Yさんに目配せをしました。 
Yさんは少しためらうと、バックから何かを取り出しました。 


446 :369:2005/10/20(木) 14:11:51 ID:tKVQKarJ0 
「・・・!」 
それを見た瞬間、僕の背中にひやっとした感覚が通りました。 
いつもの、いやな感覚です。 
今までそこのバックに入ってたのに、何故気が付かなかったのか、というほどのいやな感覚。 
それは、縁を黒く塗られたはがきでした。 
『10月26日 2時00分 死亡』
と書かれていました。 
「まさか・・・」 
僕が聞くと、Yさんは頷いて、はがきの宛名面を出しました。 
『K○ Y子 様』
宛名には、Yさんの名前が書かれていました。 
「このはがきだけは、消えないの・・・ 
 ほかのはがきはみんな、どこかに行っちゃうのに、このはがきだけはずっとあるの・・・」 
Yさんは震える声でそう言いました。
「いつ来たの!?」 
僕は、そのはがきのいやな感覚に、思わず声を荒げてしまいました。 
Y「おとといの、夜・・・」
僕「なんで、もっと早く相談しなかったの!?こいつは、本物だよ!」 
J「A!、A!ちょ、声が大きい」
僕の声に、周りがこちらに注目しているのが分かりました。 
僕は中年のおっさんみたいに、机にあった手拭で額を拭き、(・・・落ち着け、落ち着け・・・) 
深呼吸をすると、どうすべきか考えました。


447 :369:2005/10/20(木) 14:13:08 ID:tKVQKarJ0 
僕には、霊をどうこうする力なんてありません。 
警察に行っても、まともに取り合ってもらえる内容でもないし、警察でどうこうできる内容でもありません。 
しかし話しの流れから、なにもしなければYさんは今夜2時に、なにかしらの理由で死んでしまいます。 

「ちょっと、待ってて」 
僕はJとYさんにそういうと、喫茶店から外に出ました。 
こんな時に頼りになるのは、一人しかいません。 
携帯を取り出すと、僕は爺ちゃんに電話し、今までのいきさつを話しました。 
「・・・というわけなんだ、どうしよう、爺ちゃん!」 
『ふ~む。そりゃ、いかんわなあ』

爺ちゃんは、しばらく何か考えるように黙りこくったあと、
『あれじゃ。前に、大畔(おおぐろ)の坊主に書いてもらったお札があるじゃろ。
 あれを、ポストと、ドアのノブ、部屋の窓という窓に貼るんじゃ。 
 たぶん、そいつは、招かれ神の類じゃ。中から招かんかぎり、悪さはできんはずじゃ』
「夜中、部屋に戻らないようにしてもダメ?」
『だめじゃな。外じゃ、余計にいかん。四角く封ずる門がないぶん、連れいかれ放題じゃ』


448 :369:2005/10/20(木) 14:14:02 ID:tKVQKarJ0 
僕はJとYさんに、先にYさんの部屋に戻るように言い、僕の家にお札を取りに戻りました。
大畔の坊さんというのは、『かんひも』の時に、僕とKを祓ってくれた坊さんです。 
普段は、酒飲みで肉も食べるわ、嫁がいてバツイチだわ、生臭さがプンプンする坊主ですが、 
霊験はあらたかなようです。
僕が変なモノを見るようになってから、魔よけのお札を書いて送ってくれていました。 
僕は札を取ると、教えられたYさんのアパートへ向かいました。時刻は夜の8時でした。 

部屋に入ると、青ざめたYさんとJが待っていました。
僕は爺ちゃんに教えられてとおり、部屋中の窓と、玄関のドアノブに、札を貼りました。 
そして落ち着かないまま、3人で時間を待ちました。 


449 :369:2005/10/20(木) 14:15:11 ID:tKVQKarJ0 
緊張していたせいか、時間がたつのはあっという間でした。 
時計の針は、1時55分を指していました。 
「・・・・!」 
一番最初に異変気付いたのは、Yさんでした。 
「来た!!」
震えながらYさんは、自分のベッドに潜り込みました。 
「・・・・カッ、コッ、カッ、コッ・・・・」 
足音です。 
同時に僕の背中に、冷たい電流が走りました。 
ものすごく、嫌な感じがします。 
「・・・・カッ、コッ、カッ」 
足音が、部屋の前に止まりました。 
そこで、僕は重大なことに気がつきました。 
なんと、間抜けなことでしょう! 
一番肝心なポストのフタに、札を貼ってありません! 
かといって、今から貼る勇気はありません。 
何かが投函されるのかと、僕とJはポストを凝視していました。 


450 :369:2005/10/20(木) 14:15:49 ID:tKVQKarJ0 
「コンコン、コンコン!」 
しかし意表をついて、ポストではなくドアがノックされました。 
「K○さ~ん、郵便で~す」
ドアの向こうからは、張りの無い無機質な男の声がしました。 
「K○さ~ん、郵便ですよ~」
ノックと、声は続きます。
僕たちは声を潜めて様子を伺いました。

しばらくノックと声が続いた後、ふっと音が止みました。 
そして、 
「カッ、コッ、カッ、コッ・・・・」 
足音が歩き出しました。 
そしてそのまま小さくなり消えていったのです。 

ほっとして、僕らはその場にへたり込んでしまいました。 
布団に潜っていたYさんも顔を出し、安堵で泣きじゃくっていました。 
「ふう・・・・」 
僕はため息をつくと、立ち上がりながら、なんとはなしに目をドアの方へ向けました。 


451 :369:2005/10/20(木) 14:16:36 ID:tKVQKarJ0 
「・・・!」 
僕は恥ずかしながら、腰を抜かしてしまいました。 
僕のただならぬ様子に、JとYさんもドアの方を向きました。 
ドアのポスト。 
フタが上がり、ギラギラした2つの目がこちらを睨みつけていました。 
「なんだ・・・いるじゃないかよお」 
先程とは打って変わって、野太いしわがれ声が部屋の中に向かって放たれました。 
「ガンガンガン! ガンガンガン!」 
激しく、ドアを殴りつける音! 
「ガチャガチャ!」 
ドアノブも、もげてしまいそうな勢いで激しく上下しています。 
同時に、部屋中の窓という窓がガタガタと音を立てて震えだしました。 
「キャーーーーーーーーーー!」
Yさんは悲鳴を上げると、気を失ってしまいました。 
僕とJは、Yさんの上に覆い被さったまま何もできずにいました。 


452 :369:2005/10/20(木) 14:17:12 ID:tKVQKarJ0 
どのくらいの時間が経ったでしょうか。 
気が付くと、あたりは明るくなってきていました。 
音も止んでいました。 
「・・・・Yさん!」 
僕とJは、慌ててYさんを確認しましたが、Yさんは気を失っているだけで、命に別状はなさそうでした。 

あれほどの騒ぎにも関わらず、1階の大家さんも、隣の部屋の住人も、全く夜中のことは気付いていませんでした。

Yさんは、その後、そのアパートを引き払い、別の場所に引っ越しました。 
その後は何もないようです。


453 :369:2005/10/20(木) 14:17:56 ID:tKVQKarJ0 
後日談ですが。 
なぜ、変なモノがYさんの処にきたかというと。 
おそらく、これが原因でないかと思うのですが・・・。 

僕は知りませんでしたが、僕らの高校では、変なおまじないが流行っていたようです。 
場所は詳しく書けませんが、ある場所にあるポストに、夜中の2時49分に、
憎い相手の名前を書いて、縁を黒く塗り、投函すると。 
その相手に不幸が起こる・・・・と。 
Yさんは、そのまじないをやってしまったようです。 
相手は、Yさんの好きな先輩の彼女・・・ 
僕は、あんな屈託のない明るいYさんが、そんなことをしたのに驚きを隠せませんでした。 
よく、このスレでも出てきますが・・・『一番怖いのは人間の心だな』と。 

みなさんも、お気をつけください。
人を呪わば穴二つということです。

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2018-10-24 21:20 : 怖い話 : コメント : 0 :
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