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髪寄りの法


269 :髪寄りの法:2005/09/29(木) 12:32:51 ID:J0uZ9Mpl0
祖父が子供の頃の話し。 

祖父は子供の頃、T県の山深い村落で暮らしていた。 
村の住人のほとんどが林業を営んでおり、山は彼らの親と同じであった。 
そんな村にも地主が存在しており、村の外れにある大きな屋敷に住んでいた。 
地主は林業を営むわけでもなく、毎日をのんびりと暮らしていた。 

まさしく牧歌的な暮らしの村であるが、村特有のルールも存在していた。 
そのルールというのが、
「毎月3日は、髪取り師以外は地主の家に近づいてはならない」 
「屋敷に来る客人に、声をかけてはならない」 
というものだった。
毎月3日の朝に、村外から数名の人間が訪れては、夕方には帰っていく。 
物心付く前からそのルールを教え込まれていた祖父は、何の疑問ももたずにルールを守り続けていた。 


270 :髪寄りの法:2005/09/29(木) 12:34:32 ID:J0uZ9Mpl0
ある日、村の外から一人の男が流れ着いてきた。その男をAとする。 
男は村のはずれにある屋敷から、少し離れた場所に勝手に小屋を造り住み着いたそうだ。 
村人たちは不審人物であるAに、誰がこの村のルールを説明するのかを会議し、
祖父の父親(B)がその役をする事になった。 
Bは早速Aの小屋へ赴き、この村のルールを説明した。
「このルールを破れば大変な事になるので、必ず守って欲しい」と念をおした。 

俺が不思議に思ったのが、なぜ村から追い出さなかったのか。
祖父曰く、「村の人間の半数が流れ者なので、追い出すという考えがなかった」だそうだ。 
話を戻す。

AはBの説明を聞き、ルールを守る事を了解した。

そして、Aが訪れてから最初の3日が訪れた。 
この日も、20代の男女と40代の男一人が村へとやってきた。 
3日にやってくる者は、みな身なりもよく、良家の出である品をもっていたそうだ。


271 :髪寄りの法:2005/09/29(木) 12:35:29 ID:J0uZ9Mpl0
この村に何故村外の者が訪れるのか。
その秘密は、『髪寄りの法』にある。
この髪寄りの法とは、人間にかけられた呪いや付き物を落とす術であり、
この村の地主が、その術を代々受け継いでいたらしい。 
術はその名の通り、髪の毛に邪念を寄せ取り除くというもの。 
しかし、その髪を取り出す場所は、被術者の腹部から取り出される。 
その髪を山へ封印にいくのが、地主から洗礼をうけた髪取り師である。 

その日もいつもと同じように時間が流れ、
屋敷の裏口にそっと置かれた包み紙を髪取り師が持ち、山へと封印にいった。 
だが、村に来て日の浅いAは、村のルールは聞いていたがそれを無視し、
屋敷の側の雑木林から、その様子をうかがっていた。 
Aは髪取り師が持ち去った包み紙に、何かいいものが入っているものだと考え、髪取り師の後をつけた。 


272 :髪寄りの法:2005/09/29(木) 12:36:14 ID:J0uZ9Mpl0
髪の封印場所は、山の中腹に建てられた祠であり、この祠の管理も髪取り師の仕事であった。 
Aは髪取り師が祠の中に包み紙を入れ、山を下りたのを確認すると、祠のなかからそれを取り出した。
中を確認すると、血で濡れた一束の髪の毛。Aはその髪を放り出し逃げ出した。 

その次の日、Aの小屋が燃えた。 
Aは小屋から逃げ出し無事であったが、不審に思った地主がAを呼び出した。 
Aは昨日の事を話さなかったらしいが、地主にはAについているモノが見えていた。 
地主は「死にたく無ければ、お前が髪取り師を受け継げ。それを拒否すれば命はない」とAにすごむが、
Aはそれを拒否。
その日の内に、Aは村から追放された。 


273 :髪寄りの法:2005/09/29(木) 12:38:31 ID:J0uZ9Mpl0
それから数日後、地主の屋敷が全焼し一家が死亡した。 
その焼け跡からは、Aと見られる遺体も発見された。 
村人はAが放火し、そのまま逃げ遅れたのだろうという結論になった。 

さらに数日後、髪取り師が祠に行くと、祠は完全に破壊され、中にあった髪もすべて持ち去られていた。 
真相は不明だが、村人たちの話では、Aは祠を破壊し、髪をもって屋敷にいった。 
髪の呪いや邪念が一気にたかまり、屋敷炎上を引き起こしたんじゃないかという事になった。 

地主がいなくなってからは、村外の者からの収益もなく、
次第に村がさびれていき、やがて捨て村となっていった。 

それ以来、祖父は髪の毛に対し強い恐怖を覚えるようになったと、ツルツルの頭を撫でながら話してくれた。

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2018-10-19 21:45 : 怖い話 : コメント : 0 :
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