見知らぬ女


189 :本当にあった怖い名無し:05/03/18 05:17:33 ID:ngsn+q+F0
大学で実際にあった洒落にならない話。 

俺の通っている大学は、山のてっぺんにある。
町から相当隔離された場所にあり、
最寄のコンビニですら、ジグザグの山道を通って車で片道10分は掛かってしまう。 
そんな環境であるため、サークル活動や研究室などの特殊な用事でもない限り、 
遅くまで大学に居残る学生はほとんどいない。 
しかし、10棟程度に分かれている大学校舎の中の一つに、『音楽棟』という建物があり、 
そこでは夜遅くまで学生(大半は音楽関係の学科生かサークルの人間)が、 
ヴァイオリンやピアノ等の楽器を練習している。
音楽棟には、50以上の個室の全てにピアノが一台ずつ入っているのだが、
学生はそれぞれ自分なりにお気に入りの個室があるようで、 
例えば練習室の24番には○○専攻のA子がいるから、23番の練習室をお気に入りに使っているアホな輩もいる、
といった具合だ。 


190 :本当にあった怖い名無し:05/03/18 05:18:29 ID:ngsn+q+F0
その日の夜、俺は音楽棟で楽器の練習をしていた。時刻は9時半頃だった。 
終バスが10時なので、そのくらいの時間になると学生の数はかなり減っている。 
山中であるため、終バスに乗り遅れると下山は困難を極めるのだ。 
俺もそろそろ帰るかと思ったその時。
やや離れた場所から「ドカッ!!」と、何かがぶつかるような音がした。
誰かが楽器でも落としたのだろうかと思ったが、あまり気にせず個室を出ようとすると、
またもや「ドカンッ!!」という音がした。 
さてはアレだなと思った。音楽棟はだいぶ老朽化しているため、壊れているドアがいくつかある。 
ある程度ちゃんとした校舎をもつ学校に通う学生には、信じ難いかもしれないが、 
この大学では運が悪いと、自力で個室の中から出られなくなることもしばしば起こるのだ。 
部屋の中からドアを開けようとしている音に違いない・・・。
前にも閉じ込められた友人を救出した経験があったからこそ、確信があった。
すぐさま音のした個室の方へ行って、個室にある窓から中を覗いてみると、
案の定、ドアを何とか開けようとしている、学生らしき姿があった。
「今開けますよ」と一声掛けてから、ドアノブをやや強引に捻って開けた。 
「ありがとうございます、出ようとしたらドアが開かなくなっちゃって・・・」 


191 :本当にあった怖い名無し:05/03/18 05:19:43 ID:ngsn+q+F0
初めて見る顔だった。
音楽棟に夜遅くまで残って練習している人間は、大体把握できているつもりだったが、
目の前にいるのは全く知らない女の子だった。
他大生だろうか・・・?
原則として学外の人間は、個室を使っていけない事になっているが、
まぁいいかと思い、「練習お疲れ様です」と言った。 
その時。本当に、本当に一瞬の事だった。
その女の子の表情が歪み、恐ろしい顔つきになったのだ。 
そして、嘘だったように一瞬で元の表情に戻った。 
「ここ、私のお気に入りの部屋なんです」
「え、そうなんですか」
俺は喋りながら、変な違和感と緊張を感じていた。 
何かこの女、おかしい。今の顔は何だったんだ?いや、それ以前にもっとおかしな事がある。 
「ずっと使っていたんですけど、いきなり開かなくなったからびっくりして・・・」
んな事聞いてない。お気に入り?誰の・・・? 
「ほんとうにありがとうございました」
そう言ってその女は、スタスタと歩いていってしまった。

俺は結局、何も聞けなかった。 
この個室の番号は31。俺のよく知る先輩がいつも練習している部屋だった。 
いつも夜遅くまで練習している、努力家で熱心な先輩。その先輩がいなくて、知らない女がいた。 


192 :本当にあった怖い名無し:05/03/18 05:24:08 ID:ngsn+q+F0
俺はどうしても気になって、すぐに携帯電話で先輩に聞いてみることにした。意外にもすぐに繋がった。 
どうやら、今までずっと学外で過ごしていたとの事だった。
授業は1コマから入っていたそうだが、どうも気が進まなくて・・・と曖昧な返事だった。
そこで練習室の女のことを言ってみた。 
先輩はしばらく絶句していたが、重い口調で話してくれた。 
「誰にも言うなよ・・・昨日、脅迫を受けたんだ」 
話によると、昨日の夜、アパートで一人暮らしの先輩が家に帰宅すると、郵便受けに大量の紙が詰まっていた。 
何十枚もの紙の全てに、『学校に来るな』と一言、印刷されていた。
気味が悪くなって学校には行かず、一日中、町に下りて過ごしていたそうだ。
警察に届けようと思ったが、思いとどまっていたらしい。 
「その女って、誰なんですか?心当たりなどは・・・?」 
「いや、あるわけない。ないけど、お前の話を聞いて余計に怖くなった。とりあえず、何とかしようと思う」 

その会話を最後に、俺は今に至るまで先輩と会っていない。
アパートは空っぽ、実家への連絡すら1年以上もない状態らしい。完全に失踪してしまった。
勿論、あの女ともあれ以来、会っていない。


197 :本当にあった怖い名無し:05/03/18 06:42:06 ID:jVmyaszNO
その後がすごく気になる。先輩の親に連絡キボン 


208 :189:05/03/18 12:11:57 ID:ngsn+q+F0
>>197 
先輩の友達が、親御さんに何度か尋ねてみたらしいんだけど、まだ帰ってきてないとの事。 
アパートは家賃が無駄だから既に手放していて、当てにしていないが捜索願いも提出済みらしい。
先輩は音楽系の2つのサークルを掛け持ちでやってて、学外での人間関係の幅が広かったから、
周囲の人もその辺をとても不審に思っていた。
あの時の女がどこの誰で、個室で一体何をしていたのか今でも分からない。

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2018-07-12 19:52 : 怖い話 : コメント : 0 :
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